洗い出し

作業前の注意点 −  寒水石の3厘や5厘(1厘=0.3mm)など細かい石の場合は、作業方法は下記の1でも2でもかまいませんが塗り付け後、新聞紙を塗り付け表面に貼り、新聞紙が濡れてきたところで、新聞紙表面にセメントを粉のままなすり付け、塗り付け表面を固めてから新聞紙を取り除き、刷毛でノロを取りながら鏝でふせこみ、水洗い作業に入ります。この作業をはぶいて水洗い作業すれば、塗り付けた石が流れ落ちてしまうおそれがあります。

 塗り付けた後、塗り付け表面に薬を噴霧器で撒き、数時間後に水洗いする方法がありますが、寒水石の3厘や5厘など細かい石の場合は、石が流れ落ちてしまうおそれがあるのでやめたほうがいいでしょう。この表面を洗いやすくする薬を使用する場合は、石が3分以上(1分=3mm)の大きさを施工する場合に使用して下さい。

 土間など床の作業には混和剤(浅黄、石灰など)は強度保持の為あまり使用しない方がいいでしょう。
 石の隙間を白くする場合は、普通ポルトランドセメントの代わりに白セメントと少量の石灰を使用、色を付ける場合は色粉を加えます。
 セメントは同じ銘柄を使用する − セメントの色が微妙に違う為
 石も同じ銘柄を使用する − 銘柄により石の色、石の大きさが微妙に異なる為
 広い土間など 塗り付け後、水をかけ、鏝でふせこみ表面を洗いやすくする薬を散布し、すぐにビニールシートで塗り付け箇所を覆い数時間後に水洗いする方法もありますが、季節、毎日の天候、気温により洗い出す時間は異なります。

外部の雨水がかかる所は十分に水勾配を取り、水しもに目地又はモルタルボーダー仕上げになっている場合、石を塗り付ける時に3mmベニア板を目地にのせ、高めに塗り付け、少し乾いてから鏝でふせこむ時に目地のきわだけ目地いっぱいになでます。  この作業は石を洗えば塗り付け天場が石の七分目ほどまで下がってくる為、目地手前が低くなりに水がたまってしまうのを防ぐ作業で、めんどくさいようですが必ず行って下さい。

ここでは通常規模の小さな作業を二通り書いておきます。

   作業方法 1 ー モルタルを下こすりし、少し乾いてから石を塗りつけた後、はけで表面のセメントを何度も洗い取り、鏝でふせこんで(石と石のすき間を詰まらせて、石がきれいに並ぶようにすること)最後に洗い出しポンプを使い仕上げる方法。
          通常、家の基礎部分(はばき)などの作業によく使われる方法で熟練しだいで、かなりきれいに仕上がります。

 ・ 巾木の場合 - 下地に接着剤を塗り、浅黄など混和剤が多めに入ったモルタルを下塗りし、下塗りした表面に水を加えてないセメントの粉を鏝でなすり付け、水分を吸い、下地がかたくなったところで、表面のセメントの粉を鏝で削り落とし、石とセメントに石灰又は浅黄を少量を加え練った材料を塗り付け、水をつけた刷毛で表面のノロを取りながら鏝でなで、塗り付けた表面に新聞紙を貼り付け、新聞紙の上から再度水を加えていないセメントの粉を鏝でなすり付け、塗り付け表面を固め、セメントの粉が付いた新聞紙をめくり、再度水をつけた刷毛で表面のノロを取りながら鏝でなで、石と石のすきまを詰め、石の少ない箇所には練った石を塗り付けふせこみます。

 ・ 洗い出し用ポンプ(噴霧器状と通常のホース水出し状になる道具)を使い、初めは噴霧器状で、石表面四割位のノロを洗い落して、水のいきおいを弱くした通常ホース水出し状にて、塗り付け上部から下へ石表面のノロを洗い落し、1時間から2時間後、塗り付けた壁が硬くなっているのを確かめてから、再度通常ホース水出し状にてやわらかい毛質の刷毛でブラッシングしながら石表面のノロを洗い落し仕上げます。


   作業方法 2 ー 前もって、モルタルで下地を作っておいて、日をかえ固くなった下地にセメントのノロをこすり、ノロが乾かないうちに石を塗りつけていく方法。
          この方法は、階段など複雑な形でも作業しやすく、大がかりな作業や、古いモルタ ルの上に塗る作業にも向いています。 ただ仕上がりのきれいさは、1の方法よりかなり劣ります。

 ・ 下地は、塗る石の大きさによりますが、石が3個分位の厚みをひかえて、タイル下地と同じ要領で洗い出し下地を作ります。大きな石の場合は、材料が乾かないうちに一粒ずつたたき込みで、洗い出しとはまた違います。 

 ・ 1日以上置いた下地に接着剤をはけで塗り乾かします。

 ・ ノロ(セメント20kg、化学のり1袋、珪砂6号少々を、混ぜ合わせた物、接着剤少量、水10リットル)約20u、塗り付け箇所が少ない場合は、ビニール袋の中に各材料を適量入れ、から練りし、接着剤を適量入れた水で練ります、石(セメント1、石3、浅黄少々又は石灰少々)、(石の周りを白くする場合 ー 白セメント1、石3、石灰少々)を別々に練っておきます。
石を練る時、化学のりは絶対に入れないで下さい。 のりを入れると、のりの膜が張り、水をかけても洗えなくなります。 

 ・ ノロを薄く塗り、ノロが乾かないうちに石を塗りつけていきます。 この時、下に落ちた材料には、ゴミが付着しているおそれがあるので、ひろって使用しないで下さい。

 ・ 塗った所のこてむらをなくすように、刷毛で表面のノロを取りながら鏝でなで、石と石のすきまを詰め、石の少ない箇所には練った石を塗り付け、ノロの少ない所にはセメントと水だけで練ったノロを塗りたします。

6 ・  少し乾いた後、洗い出し用ポンプ(噴霧器状と通常のホース水出し状になる道具)を使い、初めは噴霧器状で、石表面四割位のノロを洗い落して、水のいきおいを弱くした通常ホース水出し状にて、塗り付け上部から下へ石表面のノロを洗い落し、1時間から2時間後、塗り付けた壁が硬くなっているのを確かめてから、再度通常ホース水出し状にてやわらかい毛質の刷毛でブラッシングしながら石表面のノロを洗い落し仕上げます。
 
   使用する石が3分以上大きな石であれば、洗い出し用ポンプのかわりに、通常ホース出口がシャワーになる物を取り付け、初めは水をゆるく出し塗り付け箇所の硬化に合わせて、しだいに水を強く出す方法もあります。
 又は使いふるした大きめのスポンジでもかまいません、ただ洗った面の石の出が若干浅くなりやすい為、刷毛でノロをよく取り除いてからスポンジでふき取ります。  スポンジ使用時は、ゴム手袋をはめ何度もきれいな水でゆすぎながら表面のセメントを取り除いて下さい。

 


 古いはばき(基礎部分)に石を塗る場合、2の行程から進んで下さい。この場合仕上がりが、上の壁よりも外へ出てしまう時は、必ずはばきと壁の分かれ目にコーキングをして下さい。
 下地はよく乾燥させ、汚れなどほこりを取り除き、はばきと壁それぞれ継ぎ目に沿って紙テープを張りその間にコーキング(防水のため)をし、スプーンのようなつるつるした先の丸い物でなでた後、テープをはがします

 土の上に石を塗る場合、1の行程からで、まず土をよく踏みかため、その上にモルタルを5cm位、車が通る所であれば10cm以上塗ります。塗る所が外ならば、水がたまらないように、こうばいをつけておきます。


中級者の窓へ戻る