珪藻土


 珪藻土は藻類(プランクトン)の死骸が、海底や湖底に長年にわたって、堆積してできた粘土状の泥土で、古くから七輪、コンロ、耐火煉瓦の材料や酒、ビールの濾過材、吸着脱臭剤などとして幅広く利用されてきた土です。

 土は調湿と保温に絶大な効果を発揮します。 その中で珪藻土は、非常に断熱効果が高く、凍結融解もしない性質があります。

 1994年頃から、珪藻土に、ひび割れ防止、補強効果の高い炭素繊維を混入させた新しい内外装、床仕上げ材を炭素繊維複合珪藻土仕上げ材として、出回り出しました。

 この材料はあらかべの上に塗る、中塗り用土材(山土と砂、わらすさを混ぜた材料)に比べれば、ややねばねばした感じで塗りやすいですが、従来の土材やモルタル、石膏材のように、少しくらい厚塗りしてもいいだろうという作業をすれば必ず失敗します。下地が悪く、一度に厚塗りすれば、必ず目の細かい割れが無数に出ます、乾いた時に見えなくても、雨などにより表面が濡れれば、必ず目立って見えます。

 この珪藻土仕上げ材は、壁仕上げの場合、10mm以上は塗らない、急乾燥させない、作業後最低でも3日位は塗った壁に水がかからないようにする事が大切です。


外装仕上げ

 下地は、モルタルハケ引き下地、もしくはサンドモルタル下地に施行し (モルタル又はサンドモルタルのタイル下地状態でけっこうです。) 、コンクリート下地への直塗りは原則として不可です、やむをえず施行する場合は、壁に接着剤を塗り乾いてから、ポリマーエマルジョン樹脂を混入したモルタルを全面シゴキ塗りした上に炭素繊維のネットを張る工法などで剥落防止の処理を行う必要があります。

 コンクリートの躯体が悪い場合は、珪藻土の塗り厚8mm控えた下地をまず作ります。 この作業は、タイル下地を作る作業と同じです。

 コンクリートの躯体が良い場合は、壁に接着剤を塗り乾いてから、ポリマーエマルジョン樹脂を混入したモルタルを全面シゴキ塗りした上に炭素繊維のネットを張り、一週間ほどしてからつぎの作業に入ります。

1.作業日の前日、下地に再度、壁全体に接着剤を塗り乾かします。

2.外装用珪藻土仕上げ材を水で練ったノロを下こすりし、ノロが乾かない内に、配合した仕上げ材をシゴキ塗り(3mm)し、半乾きの内に、配合した仕上げ材を鏝塗り(6mm)で仕上げ塗りし鏝押さえします。
  夏場は、下こすりのノロに化学糊を多めに混入した材料がいいでしょう。

3.要求される仕上げの表情に応じ、桐生砂を散布して、鏝押さえし、表面が締まったら木鏝(握り部分を付けた30cm四角位のスチロールでも可)で、平らに伏せ込みます。

4.鏝塗りの4-5時間後、締まり具合を見ながら、荒掻き用のワイヤーブラシでブラッシングし、追いかけて仕上げ用のブラシで一定方向に掻き落とし、翌日、再度仕上げ用のブラシで砂粒を払って仕上がりです。
  表面を水を含ませたスポンジでふき取り石目を出す洗い出し仕上げも可能です。

配合−外装用珪藻土仕上げ材一袋15kgに、蛭石と、川砂(1分目以下)を各ひしゃく一杯ずつ加え、それに水11-13リットルに、吸水防止剤(333g三分の一)混ぜた水で、ほどよい固さに練り上げます。

内装仕上げ

 内装用珪藻土仕上げ材には、軽量骨材(パーライト)をプレミックスしてあり、空気中で硬化する気硬性のため、冬場や湿度の多い日は硬化.乾燥が遅く添付ボンドにより固まります。掻き落としの場合ブラッシングするまでに4日から5日かかることもあります。

 仕上げ方法は、鏝押さえで漆喰調の平滑な仕上げ、藁すさを混ぜ合わせた土壁風仕上げ、掻き落とし仕上げ、塗り付け後すぐ型の付いたローラーを転がすローラー仕上げなどさまざまてす。

 コンクリート下地の場合 − 下地は外装用下地の要領で作り、内装用珪藻土仕上げ材のノロを下こすりし、配合した珪藻土仕上げ材をシゴキ塗り2mm、半乾き後、鏝塗り3mmし要求される仕上げをします。

 石膏ラスボードの場合 − 石膏プラスターを塗り付けすぐ、ホード継ぎ目にネットを張り付け約一週間後、化学糊を多めに混ぜ合わせた内装用珪藻土仕上げ材のノロを下こすりし、配合した珪藻土仕上げ材をシゴキ塗り2mm、半乾き後、鏝塗り3mmし要求される仕上げをします。

 平石膏ボードの場合 − ボード継ぎ目にグラスファイバーテープ(ネットテープ)を張り付け、炭素繊維補強下地調整材をボード全面にシゴキ塗りし、約一週間後、化学糊を多めに混ぜ合わせた内装用珪藻土仕上げ材のノロを下こすりし、配合した珪藻土仕上げ材をシゴキ塗り2mm、半乾き後、鏝塗り3mmし要求される仕上げをします。

 土壁の場合 − 珪藻土仕上げ材の塗り厚約5mm控えた所まで中塗り土で下地をし、約二週間後、化学糊を多めに混ぜ合わせた内装用珪藻土仕上げ材のノロを下こすりし、配合した珪藻土仕上げ材をシゴキ塗り2mm、半乾き後、鏝塗り3mmし要求される仕上げをします。

配合−内装用珪藻土仕上げ材一袋15kgに、添付ボンド(1kg)を10倍位に水で薄めたボンドで程良い固さに練ります。 この時、要求される仕上がり表情に合わせて、あく抜きわらすさを混入してもいいです。

床仕上げ

 床仕上げは、モルタル又はコンクリート下地に施行し、叩き仕上げは30mmから40mmの厚みで施行し、仕上げ面が乾燥後、はけやローラーで表面強化剤を塗布する事により、モルタルと同じ位の耐摩耗性が保たれます。

 1.作業日の前日、下地に再度、壁全体に接着剤を塗り乾かします。

 2.床用珪藻土仕上げ材を水で練ったノロを下こすりし、ノロが乾かない内に、配合した床仕上げ材を30mmから40mmの厚みで十分に加圧しながら塗り付けます。 (加圧は塗り付けた材料を押さえつける事により、乾燥時に起こる収縮による割れなどが少なくなります。これは左官材料全般に言える事です。)

 3.要求される仕上げの表情に応じ、砂利.飛び石.踏み石.敷き瓦などを埋め込み、木鏝で押さえ込みます。

 4.塗り付け4時間から5時間後、人が乗ってもへこまなくなれば、荒掻き用のワイヤーブラシで床表面を掻き取り石目を出します。 掻き取りが少ない場合は、土っぽい仕上げ、多い場合は洗い出し風になります。

 5.掻き取った材料をハケで、きれいにはき取り、水を含ませたスポンジで表面を綺麗にふき取り、叩き風に仕上げます。

 6.施行約二週間後、完全に乾燥させた表面を、再度綺麗にハケではき取り、表面強化剤をハケ又はローラーで塗り付け完成です。

配合 − 床用珪藻土仕上げ材一袋15kgに、山砂3分目以下をピーティー袋3袋分位を加え、水で固めに練り合わせます。
容積比は、床用珪藻土仕上げ材−1 に対して山砂−2.5位です。

 最近では、珪藻土も色々な材料が出回っており、施行方法も、ここに書いているものとは異なる場合もあるので、使用する材料の使用書きをよく読んで作業を進めて下さい。

 白色珪藻土を使用する場合の注意点は、下地がモルタル、一般補修材では表面が黒っぽい為、上塗りの珪藻土をよほど厚塗りしないと、下地の黒っぽさが消えません。 このため下地にも白セメントを加える、又は白セメントを使った補修材を使用するなど、気配りが必要です。

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