全国漆喰鏝絵コン:昨年の最優秀は「盗作」、賞取り消し−−松崎町/静岡
 ◇故・佐藤氏の作品、下絵に 遺族に謝罪



 松崎町が昨年実施した第6回全国漆喰(しっくい)鏝(こて)絵コンクールの最優秀に選ばれた作品「水辺」の下絵に、04年に死去した現代日本画家・佐藤太清氏の「朝霧」が使われていたことが判明した。同町では「盗作」として賞を取り消し佐藤氏の遺族に謝罪。現在募集中の第7回コンクールの応募者に対し模写は避けるか原画の作者の了解を得るよう呼びかけている。
 「水辺」は名古屋市の主婦(69)の作品。6羽のサギが描かれており、審査委員長の丹羽洋介・富山大教授らの「格調が高く品も良い」などと評価された。
 コンクールは4月から7月まで作品を募集。同年9月に審査され、59作品中、15作品が選ばれ公表された。「盗作」が表面化したのは今年6月。同町が第7回のコンテスト参加募集のチラシ(約4000枚配布)やホームページに「水辺」を掲載したところ、佐藤氏の弟子や遺族から「絵が全く同じ」との指摘が同町などに寄せられた。
 同町が問い合わせると、主婦は「美術作品集からコピーし、下絵に利用した」と認め「作者も知らず、盗作の悪意はなかった」と謝罪。町が求めた入賞賞金と副賞の宿泊料計15万円の返却と賞の取り消しに応じた。
 漆喰鏝絵は通常、別の画家が描いた絵を下絵に使い、独自の絵を使う方が少なく、コンクールも漆喰の技術を競う要素が強い。このため同町は、絵の独自性に注意を払わなかったという。
 しかし町は今回、別人の描いた絵を利用した作品をコンクールに出品したことを問題視した。また同町の顧問弁護士は「主婦の作品は、著作権法の二次的著作物に該当し、パンフレットなどに使う場合、主婦だけではなく佐藤氏の承諾が必要」と判断している。【中村隆】

毎日新聞 2006年7月28日