asahi.com : 最優秀作品は「盗作」 − マイタウン静岡
2006年07月28日

 松崎町は27日、同町が主催した昨年の「第6回全国漆喰鏝絵(しっ・くい・こて・え)コンクール」の最優秀賞作品が、文化勲章を受章した日本画家の作品からの「盗作」と判断、名古屋市の女性(69)の受賞を取り消し、著作権を継承した日本画家の遺族に深沢進町長名で謝罪したと明らかにした。女性は町の調査に「図書館の作品集を借りてコピーし、描いた。だれの作品か知らなかった」と説明したという。
 同コンクールは幕末〜明治の地元出身の左官職人で、鏝で漆喰をレリーフ状にした絵を描き、名工とされる入江長八を記念し、鏝絵作品の全国募集を始めた。
 昨年の最優秀賞はサギの群れを描いた「水辺」で、今年の募集用チラシや町のホームページ(HP)に掲載した。
 今年6月中旬、これらを見た大阪市民が「日本画家の故・佐藤太清の作品と同じ」と町に連絡。翌日、遺族からも審査委員の1人に「盗作ではないか」と指摘があったという。
 委員と町が調べた結果、この画家の作品「朝霧」を下絵にしたことがわかり、町の顧問弁護士も「著作権侵害にあたる」と判断。チラシとHPから作品を削除するとともに、女性から賞金10万円と副賞の町内宿泊券(5万円相当)を返還させた。
 町によると、6人の審査委員はフレスコ画の研究者や彫刻家、鏝絵職人、左官業連合会長ら漆喰鏝絵の技法に詳しい人ばかり。日本画の専門家がいなかったことが、見逃す要因になったという。
 森秀己・町企画観光課長は「アマチュアの主婦だが、芸術選奨文部科学大臣賞を受けた洋画家の盗作騒ぎが念頭にあり、素早く対応した。遺族に盗作と指摘されたら仕方ない」。9月の今年の審査会では、応募者に下絵の有無を確認し、受賞作決定後も再チェックする方針という。